
理科離れをなくせ―と吉川市内の小学生対象に、「吉川ロータリークラブ」や元文教大学教育学部教授の山田陽一さん(72)(同市中曽根)らが運営する「吉川さいえんすクラブ理科教室」が14日、100回目を迎えた。2008年7月にスタートしたが、モーターを使ったミニカー作りや磁石によるゴルフゲームなどの遊びを取り入れ、物の原理や仕組みを分かりやすく教えてくれると、子どもたちに大好評。これまでに約2800人が“卒業”した。14日には、100回目の記念教室が開かれたが、山田さんらは「これからも、未来の日本の技術を支える子どもたちを応援したい」と意欲を燃やしている。
同ロータリクラブ(尾ヶ井實会長)と山田さんらがボランティアで企画運営している、この理科教室は、同市と同市教育委員会の共催。
14日、同市市民交流センター「おあしす」セミナールームで開かれた記念教室のテーマは、「手回し発電機で車が走る」。小学生27人が参加した。
まず、山田さんが電気のできる仕組みを説明し、電流の流れ方やコンデンサーで電気を貯める仕組みなどを教え、その後、子どもたちは市販のキットを利用して、車の製作に挑戦した。
長さ約10a、幅約5aのプラスチック製の板にモーターとプロペラ、4つの車輪をつけ、手回し式の発電機をつなげて走るもの。車体中央に小型蓄電器の「コンデンサー」を接続して電力を貯め、電源のオンオフもでき、車体前部のプロペラを回して風力で走行する。
一人1台ずつ完成させた後、机を2つ並べた“簡易レース場”」で、停止線にどこまで接近して止まれるかを競う「チキンレース」を楽しんだ。「発電機のプロペラを何回回すか」がミソ。回し過ぎると多く発電し、車は机から勢いよく転落してしまい、回し方が少ないと電力不足で途中で停まってしまう。
こうした遊びを通じて、子どもたちは電気やモーターの仕組みを学んでいた。
橋田知咲希さん(6)(同市立美南小1年)は「車を作るのは難しくないけど、発電機を何回回したらいいかが分からず、何度も車が転落した。とても面白い」と笑顔で話し、梶山陽音(はると)君(8)(同3年)は「4回目の参加。家に帰っても挑戦したい」と目を輝かせていた。
元吉川小学校校長で、理科教諭を目指す学生たちに教えていた山田さんは「理科を好きになってもらおうと始めて、あっという間の10年。子どもたちと接するのが楽しくて元気になれる。まだまだ続ける」と話す。
「さいえんすクラブ」事務局長の鈴木康雄さん(66)は「本来、理科は面白くて楽しいもの。今後も20年を目指して頑張りたい」と言い、尾ヶ井会長(66)は「理科離れをなくそうはクラブのテーマ。継続していきたい」と話している。
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